第一部「Re-volver」
私は色彩。
私は風景。
私は旅人。
私には誇れる過去も賭ける名誉も輝く栄光もありはしない。
それは重ね合う色彩で。
それは変わり行く風景で。
それは移り行く旅人で。
積み重なる嘘の上に建つ虚塔。
それは崩れかかった積み木の塔で見上げるほどに高くなった。
罪の上に立つは罪人か。
嘘の上に立つは空人か。
嘘の上に建つこの塔からは本当だけがひどく遠い。
私には誇れる過去も賭ける名誉も輝く栄光もありはしない。
故に、積み上げてきたものなどありはしない。
それはきっと空っぽの嘘のような空のよう。
「では―――すがりつくもののない者はどうやって生きればいいのですか?」
answer
返信。
街は傾きつつあった。
多発する行方不明者、重症患者の回復、体の一部がない死体。
そんな中、一年にわたる昏睡状態から九堂亮伍は目を覚ます。
少年はひょんなことから犠牲者になり、事件の謎を追い始める。この街に何が起こっているのか。
そこで出会ったのは黒い外套の少女、笑顔を浮かべる男。
その男は共闘を求める少年に言った。
「失う覚悟はあるかい?」
失うことを前提に戦えない。
少年は答えを求める。
解答と贖罪。
答えを求めるその方法。
罪を償うその方法。
求める答えは返信。
呼びかければいつか還ってくると信じて。
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